Netflixアニメも話題!『スプリガン』が描く超古代文明のロマンとオーパーツの謎

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超古代文明の謎と戦う!『スプリガン』はどんな作品?

『スプリガン』は、原作・たかしげ宙、作画・皆川亮二によるSFアクション漫画です。超古代文明が遺した”オーパーツ”を巡る戦いを描き、1989年から1996年にかけて『週刊少年サンデー』で連載されました。全11巻(愛蔵版・完全版あり)としてまとめられ、2021年3月時点で累計発行部数は約1000万部を突破する大ヒット作品です。

また、1998年には劇場版アニメ映画が公開され、2022年にはNetflixオリジナルアニメシリーズとして新たに映像化されました。壮大な世界観と圧倒的なアクションが、世代を超えて多くのファンを魅了しています。

皆川亮二先生の代表作としては、遺伝子兵器をテーマにした『ARMS』や冒険アクション『D-LIVE!!』などがあり、いずれも高い作画力と緊張感あるストーリーが評価されています。

学生だった当時、超古代文明やオーパーツといった謎多い存在に憧れ、さらにアーマードマッスルスーツなどの超科学兵器の数々が、私の厨二心をこれでもかと刺激し、毎回ワクワクしながら読み進めていたことを覚えています。

スプリガン〔保存版〕(1) (少年サンデーコミックス)

『スプリガン』のあらすじ

世界中に点在する古代文明の遺跡やそこから発見された超技術の産物「オーパーツ」。これらは、人類を発展させる可能性を秘めている一方で、その強大な力は悪用される危険性も併せ持っています。

そんなオーパーツを巡る争いを止め、守り抜くために立ち上がったのが特殊組織を擁する巨大財閥「アーカム財団」。彼らの使命は、遺跡とその技術を悪用しようとする勢力から保護することです。

主人公・御神苗優は、アーカム財団の日本支部に所属する特殊エージェント「スプリガン」。彼は、超古代文明の力を悪用しようと企む軍事組織や超能力者と戦いながら、遺跡に秘められた謎を解き明かしていきます。

物語では、オーパーツの存在を巡る壮大な冒険と激しい戦闘が描かれます。「ノアの箱舟」や「水晶髑髏」など、実在する神話や伝説を取り入れた設定と、アクション満載の展開が読者を魅了します。

果たして御神苗優たちは、オーパーツや古代遺跡の真の力を守り切ることができるのか――。

スプリガン〔保存版〕(2) (少年サンデーコミックス)

古代遺跡の守護者『スプリガン』たち

古代遺跡を守るアーカム財団とは?

アーカム財団は、世界中に散らばる超古代文明の遺跡やオーパーツを保護し、それらの力を悪用しようとする勢力から守るために設立された国際的な非営利組織です。その活動は多岐にわたり、エージェントの育成から研究開発、遺跡の調査・保護までを行っています。

財団は複数の国に支部を持ち、それぞれの地域に適したエージェントを配置しています。特に主人公たちが所属する日本支部は物語の中でも中心的な役割を果たし、古代遺跡を巡る戦いの最前線となっています。アーカム財団は「我々の残した遺産を、悪しき者より守れ」という超古代文明の人々からの警告を守るため、その理念をもとにした行動が作品全体のテーマと深く結びついています。

アーカムのエージェントたち|魅力あふれるキャラクター

  • 御神苗優(おみなえ ゆう) 『スプリガン』の主人公。アーカム財団のエージェントとして、特殊装備「アーマード・マッスルスーツ」を身にまとい、超古代遺跡の保護と悪用を阻止するため戦います。冷静沈着でありつつ熱い正義感と超人的な戦闘力を持ち、数々の強敵と激闘を繰り広げます。
  • ジャン・ジャックモンド フランス支部のスプリガンエージェントで、古代文明によって作られた獣人(ライカンスロープ)。血を見ると驚異的なパワーとスピードを発揮する獣人化能力で敵を圧倒します。御神苗優と共闘する場面も多く、そのクールな見た目も相まって人気のキャラクターです。
  • 朧(おぼろ) アーカム財団に所属するエージェントで、仙人を目指す謎多き人物。私のお気に入りのキャラクターであり、作中でも最強のキャラクターの一人です。軍隊を素手で圧倒する戦闘能力を持ち、御神苗優の師匠として彼を導きつつ、独自の目的を追い求める姿が魅力的です。

その他にもアーカムのエージェントや世界中で暗躍する軍事勢力やライバルたちなど個性的なキャラクターが登場します。現代の科学では作ることができない強力な古代遺跡の力を独占をもくろむ勢力とアーカムの激しい戦いが物語の見どころです。

スプリガン〔保存版〕(3) (少年サンデーコミックス)

厨二心をくすぐる超古代文明×超科学

超古代文明・遺跡・オーパーツ、ワクワクするキーワード満載

オーパーツと呼ばれる圧倒的な力を持つ古代遺物の存在は、この作品のもう一つの主役であると言えます。それらは超古代文明によって作られ現代をしのぐ科学力により強大な力を持ち、破壊と混乱をもたらすものも多く、それを独占するためにアーカムと敵対組織は日夜戦っています。

「ノアの箱舟」「水晶髑髏」「マッパ・ムンディス」などのこの作品に登場する遺跡やオーパーツは、なぜその時代に存在するのか、どのように使われていたのか、それを考えるだけでもワクワクするものばかりです。「水晶髑髏」なんかは今ではその真実が解明されているものもありますが、まだまだ謎の多い遺物や遺跡なども世界にはたくさんあるので、今読んでもロマンを掻き立てられる作品です。

古代の超科学と現代の技術力の融合

オーパーツや古代遺跡を守るために、開発された現代の超科学兵器もこの作品の魅力の一つです。超古代文明で作られた技術を取り込み、現代の技術と組み合わせたそれらの兵器も脅威的な威力を誇ります。

代表的なのは御神苗優が着用する「アーマード・マッスルスーツ」で、超古代技術と現代の技術力の結晶とも言える装備です。オリハルコンという特殊な金属で作られ、精神に感応して超人的な身体能力を引き出すととも、驚異的な防御力を誇るこのスーツは、敵との壮絶な戦いでも圧倒的な力を示します。スーツを着用する優の戦い方やキャラクター性も相まって、アクションシーンの魅力が否応にも増しています。

スプリガン〔保存版〕(4) (少年サンデーコミックス)

古代の神秘を巡る冒険|『スプリガン』に登場する遺跡とオーパーツ

『スプリガン』には、現実の伝説やオーパーツを元にした遺跡が多数登場します。それらの魅力的な背景と、物語での重要な役割をあわせてご紹介します。

ノアの方舟

物語での役割:ノアの方舟は、超古代文明が生み出した強大な自然兵器として描かれ、人類を守るどころか滅亡させかねない恐るべき存在。

現実の背景:旧約聖書に登場するノアの方舟は、大洪水からノアとその家族、動物たちを救った伝説の船。1959年にトルコのアララト山付近で船の形をした地形が発見され、ノアの方舟の遺跡ではないかと注目を集めました。聖書に記された方舟の寸法と一致するとの報告もありましたが、自然の地形であるとする意見もあり、真偽は現在も議論の対象となっています。

マッパ・ムンディス

物語での役割:作中では、超古代文明の知識が刻まれた地図として登場。地球規模で広がるエネルギーラインの秘密が隠されており、それを巡る争いが展開されます。

現実の背景:中世ヨーロッパで作られたマッパ・ムンディスは、当時の人々の世界観を映した不思議な地図。大地は円形で、中心には聖地エルサレムが描かれています。現存する約1,100点のマッパ・ムンディのうち、約900点は写本の挿絵として、約200点は独立した地図として残されています。これらの地図は、当時の人々の世界観や宗教観、地理知識を反映しており、教育や宗教的儀式、象徴的な目的で使用されていました。

水晶髑髏(クリスタルスカル)

物語での役割:水晶髑髏は、超古代文明の高度な技術の象徴として登場し、膨大なエネルギーを蓄える力を持つオーパーツとして描かれます。

現実の背景:メキシコや中南米で発見されたとされる透明な水晶製の頭蓋骨です。その制作技術は未解明とされ、オーパーツの代表例として扱われていますが、近年の研究で19世紀以降の偽物である可能性が指摘されています。しかし、その精巧な作りや神秘的な魅力から、引き続き多くの人々の興味を引き付けています。

超古代文明とオーパーツの謎 (ほんとうにあった! ? 世界の超ミステリー)

映画的手法で描かれる圧倒のアクションシーン

作画担当の皆川先生の迫力のアクションは当時からも圧巻で、エージェントたちの超人的なバトルや古代遺跡の強大な力が存分に分かる描写が、とても魅力的に描かれています。特に軽快で派手なアクションシーンは特筆すべきで、このアクション描写は「ARMS」や「D-LIVE!!」などの後の作品にも引き継がれています。

また「皆川節」とも称される映画のような演出も見もので、その中でも背景と人物をクロスフェードさせる独特の技法「皆川フェード」は、他の作家では見れない皆川先生ならではの描き方です。

もともと皆川先生は『スター・ウォーズ』を見て人生を変えられ1、それをきっかけに映画の世界を志していたという経緯があり、作品には映画的な手法が存分に取り入れられていますが、それが作中に自然にかつ効果的に使われているのはまさしく皆川先生の技量の高さゆえです。しかもこれが連載デビュー作というのが驚きで、スプリガン終了後も数々の名作の作画を担当するのも納得のクォリティです。

  1. 雑誌ダ・ヴィンチインタビューより(2015年) ↩︎
スプリガン〔保存版〕(5) (少年サンデーコミックス)

『スプリガン』のまとめとおすすめポイント

『スプリガン』は古代文明の謎、超科学、そして手に汗握るアクションシーンが融合した、他にはない魅力を持つ作品です。

オーパーツや古代遺跡の存在は、歴史的なロマンを感じさせると同時に、冒険心を掻き立てる要素となっており、皆川先生の作画によるアクションシーンは圧倒的な迫力で、まるで映画を観ているかのような臨場感を提供します。

厨二心をくすぐる壮大な設定とワクワクする物語に加え、爽快なアクションシーンが絶妙に組み合わさり、『スプリガン』は極上なエンターテインメント作品として多くのファンを魅了しています。

『スプリガン』はこんな読者におすすめ

  • 30〜40代の男性でアクション漫画やSFが好きな方
  • 古代文明やオーパーツ、歴史に興味がある人
  • 迫力のある作画とバトルシーンを楽しみたい人

『スプリガン』が好きな人にはコチラもおすすめ

『海王ダンテ』(作画: 皆川亮二、原作: 泉福朗)

18世紀の西欧を舞台にした壮大な冒険活劇で、海賊・魔導器・謎の本・不死者など、多彩な要素を絡め取りながら、ダンテとその敵対者たちとの壮大な戦いを描いています。

2016年1月号から2021年9月号まで『ゲッサン』で連載、全13巻。

『ARMS』(皆川亮二、原案協力:七月鏡一)

ナノテクノロジーによって改造された「ARMS」と呼ばれる兵器を持つ少年たちが、世界規模の陰謀に巻き込まれていく物語です。キャラクターたちの成長や戦いを通じて、友情や裏切り、自己発見といったテーマが描かれています。

1997年から2002年にかけて『週刊少年サンデー』で連載、全22巻。

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